2022
8/09
脱炭素先行地域に採択された自治体のポイントを解説
- 再エネ・省エネ
 
2020年、菅総理大臣の「2050年カーボンニュートラル宣言」以降、脱炭素社会実現の為に日本では様々な取り組みが行われています。
それらの取り組みのひとつが、先日発表された脱炭素先行地域を中心とした、「地域脱炭素ロードマップ」の達成です。
今回は、地域脱炭素ロードマップとは何か、また脱炭素ロードマップにおける脱炭素先行地域に採択された自治体のポイントについてご紹介致します。
1.地域脱炭素ロードマップとは?
脱炭素先行地域についてお話しする前に、まずは脱炭素ロードマップについてご説明させていただきます。地域脱炭素ロードマップとは、2050年までに脱炭素社会を実現するために、国と地方が協働・共創しながら展開していく過程を示す行程表です。
脱炭素社会はもちろんのこと、持続可能で強靭な活力ある地域社会も同時に実現することを目的としています。各所で自治体を主導とした「モデルづくり」を軸に、その成功事例をもとに全国の自治体で脱炭素化の達成、また同時に脱炭素化による地域固有の問題の解決が期待されています。
地域脱炭素ロードマップは大きく二つのステップに分けられております。
2030年までの第1ステップでは、モデルケースとなる 100箇所以上の脱炭素先行地域作りが予定されています。続く 2050年までの第2ステップで、これを横方向に拡散していきます。これによって、政府が「脱炭素ドミノ」と呼ぶ脱炭素社会推進の動きが全国で活発化することが狙いです。
脱炭素化において先進的な取り組みを行う脱炭素先行地域には、環境省から多額の補助を受けることが出来ます。そのため、自治体として脱炭素化に取り組む場合には、脱炭素先行地域に選ばれることで費用負担を大きく減らすことが出来るのです。そういったこともあり、脱炭素先行地域についてはかねてから大きな注目を集めていました。
そして今回、4月26日にモデル地域となる脱炭素先行地域の採択結果が発表されました。
2.脱炭素先行地域の採択結果
第一回の公募では、合計102の自治体から79の計画が提出されました。
そのうち、26の地域が採択となり、1/3程度の採択率という結果になりました。
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 第一回脱炭素先行地域採択結果  | 
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 都道府県  | 
 市町村  | 
 都道府県  | 
 市町村  | 
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 北海道  | 
 石狩市  | 
 滋賀県  | 
 米原市  | 
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 北海道  | 
 上士幌町  | 
 大阪府  | 
 堺市  | 
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 北海道  | 
 鹿追町  | 
 兵庫県  | 
 姫路市  | 
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 宮城県  | 
 東松島市  | 
 兵庫県  | 
 尼崎市  | 
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 秋田県  | 
 秋田県  | 
 兵庫県  | 
 淡路市  | 
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 秋田県  | 
 大潟村  | 
 鳥取県  | 
 米子市  | 
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 埼玉県  | 
 さいたま市  | 
 島根県  | 
 邑南町  | 
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 神奈川県  | 
 横浜市  | 
 岡山県  | 
 真庭市  | 
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 神奈川県  | 
 川崎市  | 
 岡山県  | 
 西粟倉村  | 
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 新潟県  | 
 佐渡市  | 
 高知県  | 
 梼原町  | 
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 長野県  | 
 松本市  | 
 福岡県  | 
 北九州市  | 
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 静岡県  | 
 静岡市  | 
 熊本県  | 
 球磨村  | 
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 愛知県  | 
 名古屋市  | 
 鹿児島県  | 
 知名町  | 
今回は1万人未満の小規模の自治体から50万人を超える政令指定都市まで、様々な規模の自治体がまんべんなく採択されました。
また、計画の提出においては民間企業や大学など様々な共同提案者と共に策定することが可能となっていました。実際に今回の採択結果では26の自治体のうち18の自治体が共同提案者との計画提出となっており、共同提案者を設けていた方が有利はたらく傾向にあると言えます。
3.脱炭素先行地域に採択されるためのポイントとは?
では、実際に脱炭素先行地域に採択されるためには、どのようなポイントを押さえて申請を行う必要があるのでしょうか?
ポイントの一つ目は「脱炭素ドミノに繋がる先進性やモデル性を組み込む」ということです。今回の選定基準として事前に公表されていたのは、下記の8つでした。
- 2030 年度までに、民生部門の電力消費に伴う CO2排出の実質ゼロの実現
 - 地域特性に応じた温暖化対策の取組
 - 再エネポテンシャル等を踏まえた再エネ設備の最大限の導入
 - 脱炭素の取組に伴う地域課題の解決や住民の暮らしの質の向上
 - 脱炭素先行地域の範囲・規模の特定
 - 計画の実現可能性
 - 取組の進捗管理の実施方針及び体制
 - 改正地球温暖化対策推進法に基づく実行計画の策定等
 
しかし、実際の選考においてはこれらの内容に加え、脱炭素ドミノに繋がる先進性・モデル性があるかどうかということが考慮されました。具体的には、
・耕作放棄地におけるソーラーシェアリング等を導入した環境配慮型農業
・離島特有の災害時におけるエネルギー脆弱性等も踏まえた、防災型再エネシステムの積極的な導入
などの計画が採択されており、現在事例が少ないものの今後の横展開が期待される内容に関しては加点対象となるようです。
また、二つ目のポイントとしては「共同提案者と共に提案を行う」ということです。
今回の採択結果からも言えることですが、共同提案者と共に提案した方が採択されやすい傾向にあります。また、先ほどポイントとして挙げた「先進性・モデル性」を満たす上で、民間企業が持つノウハウを取り入れることが有利にはたらくということも考えられます。
ぜひ、これらのポイントを踏まえ脱炭素先行地域へ向けた計画策定を実施してみてはいかがでしょうか?
弊社では、脱炭素化に関するご相談も受け付けております。今回の脱炭素ロードマップやエネルギー分野の脱炭素化についてお困りの方は是非一度ご相談ください。
本日も最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。



