太陽光発電の導入を検討されている中で、自家消費型太陽光発電にすべきか悩まれている方もいるでしょう。
やはり大きな買い物になるので、実際のところ自家消費型太陽光発電には費用に見合ったメリットがあるのか気になるのは当然のことです。
結論を言ってしまうと、自家消費型太陽光発電には税制優遇で節税ができるので、活用しなければ絶対に損です。
もちろん節税以外にもさまざまなメリットがあるので、ここでは自家消費型太陽光発電の5つのメリットについて詳しく解説していきます。

 

自家消費型太陽光発電とは?

そもそも自家消費型太陽光発電とはどのような太陽光発電で、なぜ今注目を集めているのでしょうか。
まずは、自家消費型太陽光発電の概要と種類、そして注目されている理由からチェックしていきましょう。

 

自家消費型太陽光発電は電気を売らずに使う

自家消費型太陽光発電とは、発電した電力を売電せずに自宅や工場、事務所など設置した施設で利用する太陽光発電のことをいいます。
以前は10kW以上の太陽光発電であれば、FIT制度の全量売電で発電した電力をすべて売って収入源とすることが一般的でした。
しかし、次に述べるFIT制度の改定や電気代の高騰によって、近年は自家消費型太陽光発電がその数を増やしてきています。

 

自家消費型太陽光発電が注目されている理由

昨今、自家消費型太陽光発電が注目される理由は、FIT制度改定によって50kW未満の低圧太陽光発電の全量売電ができなくなったことが大きいでしょう。
FIT制度は2020年に大幅に見直され、全量売電は50kW以上の太陽光発電に限られ、10kW以上50kW未満の低圧太陽光発電は余剰売電のみとなりました。
そのため低圧で太陽光発電を設置する場合は、自然と自家消費型太陽光発電となるわけです。

加えて、電気料金の値上がりとFIT買取価格の下落も、自家消費型太陽光発電が選択肢に上がる理由の1つです。
電気料金は、ウクライナ情勢などを背景として燃料費高騰による電気代の値上がりが続いています。
その一方で、FIT買取価格は2023年度で10円/kWhと下落、電気料金はプランによって違うものの20〜30円/kWhほどですのでその差は歴然です。
そのため、発電した電力は売るよりも、なるべく使い切って電力購入量を少なく抑えるほうがはるかにお得な使い方になります。

 

2種類の自家消費型太陽光発電

自家消費型太陽光発電には、全量実家消費と余剰売電の大きく2種類があります。
電力の使い方や蓄電池の有無など、状況に合わせてより適した自家消費型太陽光発電を選択しましょう。

 

全量自家消費

発電した電力をまったく売電せず、すべて自家消費するのが全量自家消費です。
買取価格<電気料金となる現状では、売電するよりもできる限り自家消費で使ったほうが経済的なメリットを最大化できます。
電力消費量が多く、太陽光発電の発電量を十分に消費できる場合は、全量自家消費が向いていると言えるでしょう。
また、全量自家消費では蓄電池を併設して、自家消費の効率化を図るケースも多いです。
太陽光発電は夜間や悪天候時に発電できないため、蓄電池に貯めておくことで上手に電力を使うことができます。

 

余剰売電

余剰売電は発電した電力を基本は自家消費に回しつつ、使いきれずに余った電力のみ売電するスタイルです。
10kW以上の太陽光発電であれば20年間固定の価格での買取が約束されるので、安定的な収入源になります。
電力使用量に比べて発電量が多くなりそうなケースや、蓄電池の導入を見送るケースでは余剰売電を選択すると良いでしょう。

ただし、余剰売電するためには、FIT制度の地域活用要件という条件を満たす必要があります。
主には次のような要件となりますので、よく確認しておきましょう。

● 自家消費率が30%以上

● 自立運転機能を備え災害時に活用できること


 

自家消費型太陽光発電の5つのメリット

自家消費型太陽光発電の概要がわかったところで、本題のどのようなメリットがあるかについて触れていきましょう。
次に挙げる5つのポイントが、自家消費型太陽光発電のメリットです。

● 電気代を削減できる
● 停電時の非常用電源として使える
● 余剰売電で安定収入
を得られる
● 節税効果
を受けられる
● 脱炭素やSDGsなど環境貢献
ができる

 

電気代を削減できる

自家消費型太陽光発電は、これまで電力会社から購入していた施設内の電力を、太陽光発電で賄えるため電力代の削減を見込めます。
電気代は年々値上がりを続けており、2023年4月春以降さらに値上げすることを各電力会社が国に申請している状況です
家計としても事業の継続を考えても、電気代を抑えられる自家消費型太陽光発電は非常に魅力的といえます。

また、自家消費型太陽光発電と蓄電池を組み合わせることで、ピークカットによる基本料金の低減も狙いたいです。
日中に使いきれなかった電力を蓄電池に貯めておき、太陽光発電が発電できない深夜などの時間帯に使います。
そうすることで、電力購入量のピークを抑えられるため、基本料金を下げられる可能性があるわけです。

 

停電時の非常用電源として使える

災害などで停電になったとしても、非常用電源として活躍してくれる点も自家消費型太陽光発電のメリットの1つです。
特に日本は台風や地震などの災害が多いため、企業のBCP対策として非常用電源の確保は欠かせません。
また、ここ数年は原発停止の影響もあって電力需給が逼迫し、計画停電などのリスクも高まっている状況です。
その点、自家消費型太陽光発電があれば、仮に停電になったとしても施設内で電気が使えます。
家族や社員の安全確保、安定的な事業継続という観点で、自家消費型太陽光発電は大いに役立つでしょう。

 

余剰売電で安定収入を得られる

自家消費型太陽光発電のメリットの1つとして、FIT制度の余剰売電によって売電収入を得られる点も挙げられるでしょう。
余剰売電を選択した場合、FIT制度で20年間固定の価格で安定的に売電ができます。
自家消費で電気代を節約しつつ余剰分は売電することで、発電した電力をムダなく経済的なメリットに還元可能です。

 

節税効果を受けられる

中小企業は自家消費型太陽光発電に節税効果を期待できるので、ぜひとも活用していきたいです。
具体的な税制優遇制度として、ここでは一部ですが次の2つを紹介します。

● 中小企業等経営強化税制

● 中小企業促進税制


それぞれの制度概要を詳しく見ていきましょう。

 

中小企業等経営強化税制

中小企業等経営強化税制では、即時償却もしくは設備費用の税額最大10%控除のいずれかを選択して税制優遇が受けられます。
対象となるのは資本金か出資金の額が1億円以下の法人で、自家消費率が50%以上の太陽光発電です。
実施期限は2023年3月31日まででしたが、2025年3月31日までの期間延長が決まっています。

中小企業促進税制

自家消費率50%以上にならない場合でも、中小企業促進税制という税制優遇制度で節税ができます。
自家消費率50%未満の太陽光発電も対象設備に含まれており、即時償却30%の特別償却もしくは税額控除7%のいずれかを選択可能です。
対象者と実施期間は、基本的に中小企業等経営強化税制と同じ条件となっています。

 

脱炭素やSDGsなど環境貢献ができる

自家消費型太陽光発電の導入によるメリットは経済的な面だけでなく、環境貢献の側面も挙げられます。
脱炭素やカーボンニュートラル、SDGsといった取り組みは、今となってはどの企業も例外なく対応が必要で、年々注目度も高まっています。
太陽光発電は発電時にCO2を排出しないクリーンなエネルギーのため、地域社会や関連業界などに対してイメージ向上やアピール効果を見込めるでしょう。

 

 

自家消費型太陽光発電は魅力的なメリットがたくさん!

自家消費型太陽光発電は、導入費用に見合うだけの十分なメリット、価値があります。
脱炭素など環境への貢献はもちろんのこと、電気代の削減や節税効果など経済的なメリットも非常に魅力的です。
今後も電気料金の値上げや物価上昇が続けば、自家消費型太陽光発電のメリットはより大きな意味を持ちます。
安定的に事業を継続していくためにも、ぜひ一度自家消費型太陽光発電の導入を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。