昨今、ロシア・ウクライナ問題により、電気代は高騰を続けています。

また、その影響は電気代だけにとどまらず、電力の需給問題もひっ迫した状況が続いており、デマンドレスポンス(DR)と呼ばれるエネルギーリソースを制御することで、電力需要パターンを変化させる仕組みに注目が集まっています。

 

今回は、デマンドレスポンスが注目されている背景について、また電力需要がひっ迫する中で重要となる下げDRについてご説明させていただきます。

 

1.燃料調整費の高騰

燃料調整費とは、電気代を構成する要素の一つです。

電気代を構成する要素としては、大きく下記の4つに分けられます。

このうち、火力発電所で使用する化石燃料の価格の変動に応じて求められるのが燃料調整費であり、この燃料調整費の高騰が昨今の電気代高騰の要因となっています。

上のグラフは、直近半年間の中部電力における燃料調整費の推移です。

ロシア・ウクライナ問題による化石燃料の高騰に併せて燃料調整費も上昇を続けており、202210月の燃料調整費単価は6.47/kWhとなっております。この価格は半年前と比較すると約5/kWh値上がりしており、今後も上昇を続けることが見込まれます。

 

2.電力需給のひっ迫

DRが注目を集める理由は電気代の上昇だけではありません。

電力需給のひっ迫もDRが注目を集める理由の一つです。

電力需給の予測については、「供給予備率」が使われています。

「供給予備率」とは、「電力需要」のピークに対して、どれくらいの「電力供給」があるか示したものです。

2022年6月末に算出された、「厳気象H1需要に対する予備率」は以下の通りです。

 

20227月>

北海道:21.4%

沖縄:28.2%

その他エリア:3.7%

 

20228月>

北海道:12.5%

沖縄:22.3%

その他エリア:5.7%

 

最低ラインの3%を満たしていますが、これまでにないほど需給状況は予断を許さない状況にあります。

 

3.デマンドレスポンスと今注目を集める「下げDR」について

ここまで、デマンドレスポンス(DR)が注目を集める背景についてご説明してきましたが、実際に今注目を集めているデマンドレスポンスとはどのようなものなのでしょうか?

先述の通り、デマンドレスポンスとはエネルギーリソースを制御することで、電力需要パターンを変化させる仕組みのことです。

デマンドレスポンスにはピーク時に電気料金を値上げすることで各家庭や事業者に電力需要の抑制を促す電気料金型DRと、電力会社からの依頼に応じて節電した場合に対価を提供するインセンティブ型DR2種類に分けられます。

 

上記の仕組みにより電気の需要量を減らすことを「下げDR」と呼びます。

「下げDR」を実施することにより、電力ピーク時の消費電力量を抑えることができ、小売電気事業者にとってもピーク時にコストの高い電源を仕入れなくて済みます。

また、需要家としても、節電することに対して経済的なメリットを受けられます。

 

4.「下げDR」を実現する手法

では、企業において「下げDR」を実現するためにはどのような手法があるのでしょうか?

「下げDR」では電力会社から購入する電力量を減らすことが重要となるため、省エネ設備や蓄電池の導入なども有効な手法と言えます。

中でも、「下げDR」において高い効果を期待できるのが、自家消費型太陽光発電の導入です。自家消費型太陽光発電を導入することで、電力会社から購入する電力量を大きく減らすことができます。そのため、電力需給ひっ迫の問題に貢献できるだけではなく、「下げDR」を実施することによる経済メリットも享受することができます。

是非、皆様にとってもメリットのある「下げDR」に取り組んでみてはいかがでしょうか?

 

本日も最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。